■blog vol32:ぷらぷらのお野菜紹介 ビーツ

当畑から臨める京都の西山も錦色から徐々にセピア色になりつつあります。広報担当・嫁です。
秋が深まり根菜類が美味しい季節が到来です。当畑でも前回掲載のにんじんはもちろん、かぶや大根など秋から冬にかけて旬を迎えるお野菜が日々収穫できるようになってきました。
今回はその中でもまだまだ日本で流通の少ないお野菜「ビーツ」のご紹介です。
先にお伝えしますが、今回は相当いろんな文献も一緒にリンク紹介しています。途中ちょっと小難しくなりそうですが、最後まで読んでもらえると嬉しいです。

ビーツについて
ビーツと聞いて最初に思い浮かぶのはロシアの郷土料理「ボルシチ」ではないでしょうか。(というか他にビーツを使った料理があまり無い気もしますが…)日本でまだまだ馴染みの薄いお野菜ですが、原産地は諸説あり地中海沿岸と言われており、現在のような赤いビーツの栽培は16世紀ごろだそうです。

まだ間引き菜程度のビーツ

ビーツはヒユ科ホウレンソウの仲間です。(※以前はアカザ科に属していましたが、2010年に新しい植物分類となりアカザ科が消えてヒユ科に統合されたそうです。引用:野口のタネ 第10回 ホウレンソウの話より  )
確かに葉っぱや茎を食べるとほうれん草特有の味わいが感じられ、根の部分はほうれん草の軸に似た強い甘味があります。
ビーツは「食べる輸血」とも呼ばれるほど、カリウムやリン、マグネシウム、鉄分、葉酸などを持ち、ビタミンAやCを含みます。
また食物繊維の含有量も多く、水溶性・不溶性をバランスよく持っているため、腸内環境の改善にも役立ちます。
同じ根菜で腸内環境を整えると言われるキクイモと比べてもカロリーが低くミネラルの含有量は引けを取らない優れものです。

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ビーツと疲労回復
近年の研究成果から、ビーツには土中成分由来の硝酸塩を含みますが、それが消化という課程を経て一酸化窒素(NO)に変換されることで体内で血管拡張効果をもたらすらしいです。血管拡張は身体に必要な酸素を運ぶ助けになりますので、疲労回復効果が得られます。
しかもその過程には口腔内の嫌気性細菌が活躍しているそうです。野菜に含まれる硝酸塩はこれまで多量摂取は体に悪い、乳幼児で「ブルーベビー症」を起こすなど悪い部分が広められていました。過剰摂取は好ましくありませんが、見方を変え適量を心掛ければ身体にとって良い影響を与えます。
またこれらが細菌との共生があるからこそ機能していると考えると、「過剰な抗菌・殺菌は果たして本当に人体にとって有益か?」を考えさせられます。
(引用:日経バイオテク 【機能性食品Vol.352】より)
(引用:野菜に含まれる硝酸塩は毒か薬か?還元的NO合成経路の研究小史より

葉が茂りだしました

ビーツの色素「ベタシアニン(ベータシアニン)」
赤いビーツは調理するとまな板やゆで汁に至るまでとにかく鮮やかなビビットレッドになります。
これはビーツが持つ「ベタシアニン」という色素に由来します。あまりに真っ赤になるので、このまま色々なところに
色素が残らないか気になりますが、水溶性のようで洗えばほぼ落ちてくれます。
ベタシアニンは、数千種類あると言われる「ファイトケミカル」のうちの1つです。抗酸化作用で有名なポリフェノールや緑茶に含まれるカテキンなど、のように、強い抗酸化作用を持つ成分です。
なおこのベタシアニンの赤い色素は、多量に摂取すると体外に排出される時にも色素が残ることがあります。
ビーツ由来で人の体質によっては分解できず赤くなるんだそうですよ。(WCで一瞬血尿を疑ってしまうほどの赤で驚きます…。)
なおベタシアニンが含まれるお野菜は他にドラゴンフルーツ(赤)など。ごく一部にしか含まれないそうです。

ビーツとお豆腐のお味噌汁

ビート?ビーツ?
ビートと呼ばれるお野菜は「甜菜(サトウダイコン)」を指します。ビーツは「テーブルビート」「火焔菜(カエンサイ)」とも呼ばれ、どちらも同じヒユ科の仲間ですが別のものです。

ビーツの育て方
種はトゲトゲのほうれん草特有の形をしています。(素手だとたまに刺さって痛いくらいのトゲですよ)
生育適温は15℃~21℃だそうで、春と晩秋の2回収穫時期を迎えます。また寒さには比較的強いですが暑さに弱い
特徴を持ちます。条件が整うと葉がぐんぐん成長をはじめ、次いで根が太り始めます。
ほうれん草の仲間なので冬から春にかけてのトウダチ(花を咲かせるための花茎をのばし花芽を付けること)を心配するのですが、意外にもビーツはトウダチしにくい印象。同じ条件下で育てていても、ほうれん草や小松菜、水菜などがことごとくトウダチする中でもなかなか花芽がつかないため、収穫を長く楽しめる印象です。

袋に詰めたビーツ

主な病害虫はヨトウムシ、ナメクジによる食害でしょうか。特に葉っぱが美味しいのか、高温下ではムシャムシャ丸い穴があけられて食害されます。
収穫時期になるとビーツの根の部分は球形(もしくは円柱形)になり、土の表面に頭を出します。かぶなどと同様で、土表面に頭を出してからも根の先端部分で水分や栄養を吸って大きくなります。概ねこぶし大のサイズになったら収穫です。

ビーツはどんな味?
根の部分は茹でたり蒸したりすると強い甘味の感じられカブのような食感です。グリルや煮込み料理がおいしいです。
葉っぱや茎は刻んで炒め物やお浸しに向きます。ほうれん草やふだん菜のような味がします。
なお葉っぱも赤い色素を持つため、使用すると料理全体が赤色になります。

茹でビーツを混ぜ込んだ真っ赤な手作りパン

冬本番に向けて、旬のお野菜で身体の調子を整えてみませんか?
以上、「ぷらぷらのお野菜紹介 ビーツ」でした。

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