■blog vol26:ぷらぷらの果樹紹介 いちじく
9月に入り朝晩のひんやりした空気を感じております。広報担当・嫁です。
畑の植物の勢いも8月に比べればやや落ち着いた雰囲気。見かける昆虫たちも少し様相が変わってきました。オハグロトンボ、アキアカネ、カマキリたちをよく見かけます。気配は急に秋です。
今回は、この季節の旬「いちじく」についてご紹介。
いちじくの原産地
原産地は現在のサウジアラビア南部~イエメン・オマーン周辺。いちじくはブドウと共に紀元前から栽培されていた果物だという話もあります。聖書にもいちじくの樹が出てきたりしますし、大変長く栽培され食されてきた果物のようです。
日本に入ってきたのは1591年にポルトガルから伝来されたということで、「唐柿(からがき)」「蓬莱柿(ほうらいし)」「南蛮柿(なんばんがき)」「唐枇杷(とうびわ)」など色々な呼び方をされたそうです。確かに姿はビワに似ているし、食べるとねっとりとした甘みが干し柿などに似ているため、昔の人は言い得て妙な名前を付けたものだと思います。
いちじくの特徴
いちじくはクワ科イチジク属の落葉高木(学名: Ficus carica)です。流石クワ科、夏場の生育は旺盛で実りも豊か。そして晩秋には一気に落葉して、冬場は幹と枝だけになるところはクワととってもよく似ています。日本では大きくなっても3~5mですが、条件が良いと高さ20mの高木になるそうです。葉っぱは3つに分かれた形のものは栽培の歴史が長く、手のひらのような5つに分かれているものは明治以降に渡来したものだそう。
名前の由来は諸説ありますが、約一か月で熟し、毎日一つずつ収穫できる事から「1熟=いちじゅく」が転訛していちじくになったとか。当畑でも時期になると毎日収穫できる有難い果物です。
特筆すべきはいちじくを漢字で書いたその名前のとおり「無花果」に見えること。
これは、花が咲かずに急に実るように見えるから付いた名前ですが、実際はあの実に見える部分が花。小さな花が沢山入った「花嚢」と呼ばれるものを作り、育って大きくなったものが「果実」になります。日本で育つ多くの種類は単為結果性といって受粉をしなくても結実する特徴を有しますが、原産地では雌雄異株で、小さな「イチジクコバチ」が受粉を助けているそうです。
いちじくを切ると白い乳液が出ることがあります。これはいちじくの持つたんぱく質分解酵素「フィシン」。傷口から細菌による感染がないように身を守るために出す物。タンパク質分解酵素というだけあって、タンパク質で出来ている私たちは食べると口が痒くなったりするのはそのせいだそうです。少量の摂取は問題ないですが、大量に食べるときはご注意くださいね。
この白い乳液は体に付いたまま太陽光(紫外線)をあびると火傷のような状態(光過敏症)を起こすことがあるそうです。採取するときに付いた場合は水で洗い流すなど、注意することに越したことはないですね。
いちじくの効能
いちじくは先述したタンパク質分解酵素を持っているため、消化を助けてくれたり、ペクチンという食物繊維を多く含むため腸の運動が活発になり、便秘に効果があるそうです。果糖、ブドウ糖、蛋白質、ビタミン類、カリウム、カルシウムといろいろな栄養を含んでおり、疲労回復にも効果的です。糖分が多いので食べすぎると太るもとにもなるかも。
いちじくにまつわる大失敗
先日、いちじく大好きな私はいちじくを使ったパンを作ろうと思い、パン生地に練りこんだら甘味のあるパンになるに違いない!と大量の生いちじくを一次発酵前に投入。普段通り生地をこねていったのですが…こねるほどにまとまらない生地。しかも手にべっとりへばり付く。
さながらパン生地は水あめや溶けたキャラメルのような状態。小麦粉を足しても全く変わらず。なんだこれはの珍現象にぶち当たりましたが、今考えるとこのたんぱく質分解酵素によって小麦の持つグルテンが分解された結果だったかも。他にもいちじくにはゴムに近い樹脂分が含まれるため、べたべたするそうです。
焼いてみたら、見た目はパンなのに食べると焼き八つ橋?生キャラメル?はたまたヌガー??のような歯にべっちょり引っ付く何とも後味の悪いパンを作ってしまい(涙)(結局薄切りしてラスク風クッキーにして食べましたトホホ…)
そうか、市販のパンにはドライいちじくだったり、加熱加工した後のいちじくが入っているのはこういう理由だったんだなぁと妙に納得した次第です。
いちじくの育て方
比較的容易に育ついちじくですが、初夏の生育が旺盛でぐんぐん伸びるので広い場所をお勧めすることと、お水が大好きな果樹なので水切れに注意です。以前、知人の家でいちじくを育てていたら突然大きくなりだして2階建ての屋根の高さを超えたそうで、原因を探ると地下水の流れる地下層まで根が届いて急に元気になったそうです。(そんなにお水が美味しかったんだね・・・。)
ある程度大きな樹になってきたら実を多く実らせるため、冬場の剪定をおすすめします。春に新梢がわさわさ出てその梢(葉の付け根あたり)に実を実らせます。当畑では冬場にぷらぷらさん(主人)が全体の1/3程度の高さまで刈り込んでしまいます。
冬場に自分の背丈より低いくらいに刈り込まれたいちじくがこのまま枯れないか心配なのですが、春になると驚くほどにょきにょき伸びます。
秋にはすっかり手が届かなくなり、実を取るのが困難なことも。生命力あふれる頼もしい果樹です。
病害虫として、特に気を付けたいのがカミキリムシ。卵を幹に産み付けることで、樹に栄養や水分が行かなくなり枯死することも。
いちじくの幹や周りに鋸くずのような木くずが落ちている時はご注意ください。
熟した裂果にはコガネムシが付きやすいので、裂果する前に収穫をするように気を付けています。
ぷらぷらのいちじくご紹介
ぷらぷら畑には現在3種類のいちじくが育っています。大きな実の付く昔ながらの「日本イチジク」。
アメリカではケーキに使われ糖度が30度まで上がる(!)といわれる「ホワイトゼノア」。
ミニイチジクで皮が薄く、黄緑色の皮ごと食べられる「ホワイトスキア」。
去年は1種類のイチジクしか取れませんでしたが、今年は3種類とも実りました。ただ先日の度重なる豪雨と暴風で一部枝が折れたり樹が倒れかけて斜めになってしまったり。今は生育期なので無理な手当も出来ず、今シーズンはこのまま様子を見ながら、冬に剪定しつつ手直しをすることになりそうです。現時点で200個近くは実っているのですが、これからの季節無事に育ってくれるかどうか。台風、長雨など露地栽培は色々心配がつきものですが、実り豊かな秋を迎えられるよう日々見守るばかりです。
以上、ぷらぷらの果樹紹介「いちじく」でした。
広告