■blog vol30:ぷらぷらのお野菜紹介 にんじん

畑やお野菜の紹介などを綴った本ブログもvol30となりました。広報担当・嫁です。
今回は「にんじん」について。当畑の人参、数あるお野菜の中でも特定のファンの方が
複数付くという人気のお野菜です。食べた方からは「他のにんじんと味が違う」「甘味が濃い」「香りが良い」「昔食べたにんじんの味がする」とお声を頂きます。
今回は2回に分けて、にんじんの特徴、育て方、品種、調理法や活用法をご紹介します。

にんじんについて
にんじんはセリ科の植物。独特の香気成分を持ちます。セリ科のお野菜は他にパセリや三つ葉、アシタバなどです。
現在は日本全国どこでも栽培されていますが、原産地は中央アジアで 、アフガニスタン周辺で西洋系と東洋系に分かれ世界各地に伝播したといわれています。
西洋系にんじんは花芽が付くのが遅く長く収穫を楽しめ、東洋系にんじんは温度変化に敏感で花芽がつきやすいようです。
にんじんの花について
古い植物分類でセリ科は「傘形科(さんけいか)」という名称の科目であったそうです。その名のとおり、花の形が独特。満開の時は半円状、種が出来る頃には傘をひっくり返したようなパラボラアンテナ型をしています。
花が咲くと小さな虫たち(テントウムシやカメムシ)がこぞって集まります。なんとも効率よく受粉してそうだな…と思いながら見てしまいます。同じセリ科で「レースフラワー」という切り花用の品種があり、独特の花姿はフラワーアレンジにも向いてます。

発芽に必要な4つの条件
通常発芽には「温度」「水」「酸素」ですが、にんじんにはもう一つの要素があります。
それは「光」。にんじんは「好光性種子」といって、光を感知して発芽が促進されます。
畑でもにんじんの花が咲き終わってそのまま放置した「花がら」からいつの間にか芽がびっしり出てきたことがあります。土がなくても、長雨で水分が絶え間なく周りにあって温度が好条件であったことで発芽しました。残念ながらにんじんは移植に弱く(移植すると根がいじけてしまいまともに育たないらしいです。)
折角出てきたにんじんたちは育つことなくその場で枯れてしまいました。とほほ。
好光性を示す野菜は、ニンジン以外にもレタス、セロリ、ミツバなどがあります。反対に、光線により発芽が抑制される「嫌光性種子」にはダイコン、ニラ、カボチャなどがあります。
そういえば畑で毎年ニラの種があちこちこぼれるけど、あまり発芽しないのは嫌光性だったからか。納得です。

手前のフカフカした葉っぱがにんじんの葉

ぷらぷら流種まきのコツ
にんじんは「芽さえ出れば育つ」「芽出し7割」(生育の7割が発芽の出来によって決まる)と言われるお野菜。反対に言えば芽出しが一番気を遣います。理由は前述のとおり好光性種子であるという特徴と、発芽に水を大変好むという2つの特徴があることです。

【種まきのコツ】
①雨が続く前日に種まきをする
②種を撒いたら土は被せない
③種をまいた後には「これでもか」というくらいたっぷり水を与える。

上記の3点を守れば大抵しっかり発芽します。

【よくある失敗】
①種を撒いた後に乾燥させた…一度発芽に向けて動き出すと、途中で水切れを起こした場合二度と発芽しません。残念ながらまた期をみて新しい種を撒きましょう。
②種を撒いた後に猛暑が来た…発芽可能温度は上限30℃程度のため、近年の日本の残暑はにんじんの発芽にとって厳しい環境です。一旦種を撒いた後、35℃以上になるとこれまた残念ながら発芽しない可能性が高いです。

うまくいくと10日程度で小さな細い双葉がぴょこぴょこ出始めます。

んじんは年2回
にんじんは春と夏の2回種まきの適期があります。春は平均気温が10℃になった頃。ここ京都だと3月中旬以降になります。夏はお盆を過ぎた8月下旬。暑さが少し和らぎ秋が近づいてきたと思う頃が目安です。
これにもちゃんと理由がありまして、にんじんの発芽適温は15~25℃。発芽できる温度は8~30℃ととても幅広いのですが、温度が低い冬場(10℃程度)だと発芽に1か月を要することも。生育適温は20℃前後のため、生育適温を迎える50日前に植えるのが理想。種まきタイミングは「ちょっと過ごしやすくなったらにんじん」で覚えましょ。
にんじんの育成
にんじんは「種を撒いてから収穫まで100日」と言われるそうです。葉物が30日、大根などは60日なのに比べるとにんじんは生育に時間を要します。その反面、一度発芽さえしてしまえば追肥や余計な手間をかけずとも育ってくれるため自然農法には適したお野菜。葉っぱが7枚程度になった頃から根が太り出すらしいです。
ベストな育成は、種まきから50日後ぐらいに気温が20℃くらいを保ち、100日を迎える感じでしょうか。なお夏撒きのにんじんは収穫時期が11月~2月と大変長く収穫が楽しめます。収穫は葉が黄色くなる前に。
また、春が近くなって花芽が付きだす(「薹(とう)が立つ」といいます)と、柔らかだった根っこは木質化を起こしスカスカになったり(「すが入る」といいます)固くて食べられなくなります。これは栄養が根から奪われ、新しい種を作るためにエネルギーが移動していることに由来します。

全2回の「にんじん」に関して、前半は育て方のコツについてご紹介しました。
ご自宅にてプランター等で育てられる際はなるべく深めのプランターをご使用ください。
ぜひ種まきのコツをおさえてにんじん栽培に挑戦してみてください!
後半は豊富な種類とレシピについてを予定します。どうぞお楽しみに。

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