■blog vol34:ぷらぷらのお野菜紹介 アピオス

2022年、本年もどうぞ宜しくお願いいたします。広報担当・嫁です。
京都の寒さも随分本格的になりました!年末年始と雪が舞い、あちこち雪景色でした。
植物堆肥や不織布で対策をしたとは言えど、バナナやジャボチカバなどの低温が苦手な植物たちが越冬してくれるか、心配です。頑張ってくれ植物たち…!

今回は珍しい根菜のご紹介。「アピオス」ってご存じですか?

アピオスとは?
アピオス(学名: Apios americana Medik)は「アメリカホドイモ」とも呼ばれ、北アメリカは北西部が原産地のマメ科のつる性植物です。
マメ科植物なのに地下にイモが出来るというのはこれまた珍しいお野菜です。19世紀ごろまではこのアピオスをインディアンが主食として食べていたという記述もあるそうで、後述しますが大変栄養価が高いため、主に他の部族との闘いの前に食べるなどスタミナ源とされていたようです。
また、「ホドイモ」というものがありますが、こちらは日本の山林に古くから自生する別の品種です。

日本での栽培状況
日本に伝来したのは明治初期にリンゴの木を青森県が輸入した際に、偶然根鉢の中にアピオスのイモが混ざっており、そこから増えていったそうです。
日本ではその歴史的背景と、アピオスが耐寒性、耐暑性に優れた特性を持つことから、青森県を中心に東北地方や鳥取県で栽培されています。

アピオスの栽培
アピオスは3月~4月にイモを定植します。芽が出るのに約2か月かかります。種芋を深さ約5センチのところに植えます。水が常時溜まるような場所だと種芋が腐る可能性があるため、ある程度水はけのよい土が良いようです。6月にはツルがぐんぐん伸びるので支柱やネットをしてつるを伸ばします。
最長で2.5m程度には伸びますので、余裕を持って支柱やネットを付けられることをおススメします。
葉っぱはやや厚みのあるツルっとした美しい葉なので、近年はグリーンカーテンとしても重宝されているようです。8月に初旬には薄いピンク~濃赤のグラデーションが美しいマメ科特有の形の花が咲きます。葉の根本にクサフジの花を一回り大きくしたような花が付き、スミレのような良い香りをあたりに漂わせます。ちなみにこの花も食べられます!サラダにトッピングしたり、さっと洗ったものを天ぷらにしても美味しいです。味はほのかにマメ科の風味と噛みしめるとほんのりした甘味がありますよ。
なお、グリーンカーテンをされる方はこのお花にご注意を。とても良い香りで見た目も可愛らしいのですが、アブラムシやアリが大好きなようでこぞってやって来ます。気になる方は早めに花部分を摘み取って…食べてしまいましょ(?)。
10月末ごろから次第に葉っぱが落葉をはじめ、地上部がツルだけの姿になります。
12月頃になって寒さにあたることでイモの糖度が上がります。収穫をする際は、ツルが伸びていた周り半径2m程度のところから中心に向かって掘り進めてください。子イモがランナー状に伸びて数珠つながりになっているためです。子イモは100円玉サイズのもの~ピンポン玉程度のサイズが多いですが、年々親芋が太ってくるにつれて子イモのサイズが大きくなります。

こんな土の中からアピオスが出てきます

当畑では4年もののアピオスが育っていますが、ジャガイモより1まわり程大きいサイズが出現しています。
栽培のポイントはしっかりと葉を茂らせ日当たりの良いところで育てることでしょうか。病害虫は比較的少ない方ですが、先述のとおりアブラムシが付きやすく、花が咲く8月初旬にはアリが多く群がります。大変強健で育てやすい印象があります。畑でも特段手もかからず、つるを伸ばすための支柱を付ける程度しか行っていません。また、アピオスはマメ科であるため土壌中で根粒菌と共生して窒素固定をしてくれます。そのため肥料も特段必要なく、すくすく育ってくれます。有機栽培や自然農法だからこそこの根粒菌との共生が可能なんですよね。根粒菌、何とありがたい存在。

アピオスの特徴
数珠繋がりになったイモを個別にしていく時、乳白色の汁が出てくることがあります。ゴム状のネバネバした汁ですがサポニン(アピオスはマメ科なので大豆のようにサポニンを含有しています。)由来の成分だそうです。これがなかなか。手や包丁などに付着すると取れないんですよねぇ…。水洗いもダメ、石けんもダメ。
なので取れなくて困った人は「ガムテープ」を使ってみてください。粘着成分同士が容易にひっついてくれるので、結構すんなり取れます。

沢山収穫できました!

アピオスの栄養価
栄養価が高いと記述しましたアピオス、いったいどれほどなのか見てみましょう。いつもの「食品データベース」には実はアピオス掲載されてないんですよね…。色々WEBサイトを漁りまして栄養価調べてみました。比較のためにサツマイモ、キクイモを掲載していますのでご覧ください。いずれも100gあたりの栄養価です。

エネルギーが高く、タンパク質や脂質、鉄分、カルシウム、食物繊維が豊富です。食物繊維が多いと言われるサツマイモの約3倍以上ですから、整腸作用が大いに期待できそうです。またミネラル含有量も高く、マメ科のため大豆ペプチドやサポニンも含んでいるそうです。

アピオスの食べ方
栄養価が高いため1日にあまり多い量を摂取すると胸やけや消化不良を起こすとも言われています。そのせいか、アピオスをどっさり使ったようなレシピはあまり見かけませんが、味はホクホクしたサツマイモとねっとりした里芋を足して2で割ったような味わい。よくあるのは5~10分程度塩ゆでしたり、ホイル焼きにしたりでしょうか。バター焼きや茶わん蒸し、てんぷらも美味しいそうです。

日本ではまだまだ入手しにくいアピオスですが、高い栄養価と育てやすさから今後栽培が増えるお野菜かも?と注目しています。以上「ぷらぷらのお野菜紹介 アピオス」でした。

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