■blog vol33:ぷらぷらと化学物質過敏症

畑に薄っすらと霜が降りる季節がやってきました。広報担当・嫁です。
以前当店のお客様の話が産経新聞に掲載されたと記載しました。
https://plantsplanetpp.net/2021/11/24/newskougai/
今回はそれを踏まえいつもとちょっと違った内容ですが、ぜひ広く目を向けて頂きたいと思います。

化学物質過敏症ってご存じですか?
最近スーパーやドラッグストアで市販されている柔軟剤、合成洗剤、食器洗い洗剤、芳香剤、入浴剤、整髪剤などのコーナーで袋や容器に入っているにも関わらずにおいが感じられることはないでしょうか?
また、バスや電車など公共交通機関で香水やこれら日用品使用によるにおいが溢れかえっているような場面に出会うことはないでしょうか?
においによる感応性は人それぞれで、これらのにおいをいい香りだなと思われる方や、アロマテラピーのように落ち着くにおい、リフレッシュできるにおいと感じられる方もおられるかとは思いますが、このにおいによって頭痛、めまい、吐き気、しびれ、喘息、時には命にかかわる程の体調不良が生じる方がいるとしたら?
普段当たり前に使用しているものが、他の誰かの健康を著しく損なっているとしたら?
「化学物質過敏症」は、日常で使用されている各種香料、揮発性の化合物などで体調不良などの症状を発症します。そして、過敏な方だけが感応しているだけでなく、感知できないだけで人、動物、大気中や海洋に至る地球環境全てに蓄積しています。化学物質過敏症はいつ誰にでも起こりえる事象です。

自身と身の回りの話
かくいう私も実はこの化学物質過敏症に片足を突っ込んでおります。最近の柔軟剤や合成洗剤で使用されているマイクロカプセル入りの香料に反応して頭痛が起きたり、ホワイトボードのマーカーを使用すると吐き気を及ぼすほどの頭痛に苛まれます。
学生時代や過去の仕事で毎日のように揮発性の薬剤を取り扱っていたせいもあり、人よりもこれら揮発性物質による暴露が多かったように思います。今は原因がハッキリしたためこれらの使用を一切しない生活をすることで急な体調不良に襲われることは少なくなりました。

また、私の周りの例ですが、新築のアパートに入居してほどなく化学物質によるアトピー性皮膚炎を発症し、それが原因で生活がままならなくなった友人が居たり、
自宅で使っていた大手メーカーのスプレー式の消臭剤が原因で長期間起き上がれず就業に支障をきたし、やむなく仕事を辞めた友人がいます。
彼ら彼女らは決して特別な人ではなく、ごく普通の生活をしていました。そして普段通りに過ごす中で発症しています。

海外の現状と日本の現状について
アメリカでは成人の約13%が、香りつき製品にさらされて化学物質過敏症になり、約15%が職場の香りつき製品で健康を害して過去1年間に休職や退職を余儀なくされているのだそうです。(ダイヤモンドオンライン2018年8月19日記事より抜粋)
人工香料だけで約4000種類があり、国内では約300種類を製造しているそうですが、香料には成分開示義務がありません。非公表が許されています。
にも関わらず、例えば合成香料のムスク類のムスクキシレンはEUでは製造が禁止されています。日本では規制されず現在も使用されていますが、ホルモンかく乱作用が高く、分解しにくいため残留性が高く、魚や日本人の母乳からも検出されています。
EUではアレルゲン(アレルギーの元になっている)であることが明白な26成分に表示が義務付けれられましたが日本ではいまだ大半が規制のないまま市場に出回っています。
しかしながら昨今の化学物質過敏症による健康被害の増大を受け、国もやっと注意喚起を促す啓発を始めました。(しかも消費者庁、文部科学省、厚労省、経産省、環境省の5つの省庁が合同で注意喚起です。)
個人的にはもう一歩踏み込んだ国の対応がなされることに期待を寄せています。

ビニールや容器で包めば大丈夫?
先述した「袋や容器に入っているにも関わらずにおいが感じられる」について、ビニールや容器で包まれていればにおいは外に出ないと思いがちですが、材質や気温、においの種類によっては一概にそうは言えないということをご紹介します。そもそもPVC(ポリ塩化ビニール)をはじめとするビニール類は製造過程でどうしても目に見えない微細な穴が出来ます。穴のサイズは1nm以下と言われており、水を通しません。しかしながらそれより粒形が細かい状態になると…?例えば水蒸気や気体であれば穴から徐々に浸透していき、やがて透過します。タバコの粒子の直径は1~10nm、刺激臭で有名なアンモニアの分子となるとわずか0.26nm、シックハウス症候群で有名になった揮発性物質(VOC)の成分は0.0004~0.01nmだそうです。つまりビニールは例え密閉しているように見えても、その材質によってはにおいの成分を透過しているということです。

お客様の声
お野菜をお買い求め下さるお客様から、移香に関する問い合わせを受けることが増えました。
また、化学物質過敏と診断を受けたお客様や、その予備軍の方も複数おられます。
皆さんから寄せられた声
【ケース1】
■「どこのスーパーや八百屋、通販で購入しても野菜を包むフィルムや野菜自体にまで移香が生じていて、調理をしても食べられない。」
◇生産~流通までの過程において、移香が生じる可能性は多々あると思います。
ぷらぷらではまず自分達がこれら移香の原因となる合成香料、揮発性成分を含んだ製品を日常で一切使用しないことを心掛けた生活をしています。こちらのお客様からは届いたお野菜は一切移香がなく安心して食べられたと嬉しいお言葉を頂き、現在もリピートで通販ご要望を頂いております。
【ケース2】
■「アレルギー専門の病院にかかっているが、検査の結果、遺伝子組み換え食品でアレルギーが発症していた。食品表示をみながら購入しているにも関わらず、何を食べても症状が出ている。」
◇通常、農家さんではその農法にもよりますが肥料や薬剤を使用しお野菜を作っています。
自然栽培を目指し余計なもの・余計な手間を省いた形での栽培を心掛けていますが、一部植物性の肥料(油かす)を使用しています。ただ、この油かすに関して、あまり知られていませんが近年では遺伝子組み換えの菜種を絞った搾りかすを使って製造した油かすが流通しています。
当畑では畑に施す肥料の産地や出所までを調べ、遺伝子組み換えでない菜種を絞った油かすを購入し利用しています。
また、自然農法を目指しているため、土壌が有機質に富み循環が出来るようになればこれら肥料もなくしていく方向で考えています。
こちらのお客様からはお野菜を食べても症状が出ず食べることが出来たと喜びの声を頂きました。
※なお頂いた声は必ずしも全ての方に当てはまる内容ではありません。個人差がありますのでご了承ください。

ぷらぷらが強く伝えたいのは、どんな方にも手に取って頂けるお野菜作りをしたいこと。
そのためには消費者のニーズが時代の流れや与えられた環境と共に常に変化することを当たり前と捉え、視野を広く持って情報収集や相手の状況を理解する必要があります。
極論かも知れませんが、例えばオーガニックの農産物を手掛けている農家の方が、タバコを吸い柔軟剤、芳香剤を当たり前に使用し、手元に届く農産物にそれらの移香が生じていたとしたら…果たしてお客様はその商品をオーガニックの価値があるものとして受け取れるでしょうか?
今後も出来うる限りの環境への配慮を心掛けながら、手に取って下さるお客さんが笑顔で健康になれるお野菜が提供できればうれしいです。以上、「ぷらぷらと化学物質過敏症」でした。

【ぜひこちらもご覧ください】
化学物質過敏症支援センター
http://www.cssc.jp/cs.html

コロナ時代に香害を考える
https://news.yahoo.co.jp/byline/ishidamasahiko/20210624-00244546

ちょっと待って“その香り” 有害物質が潜んでいる!!
https://www.city.meguro.tokyo.jp/kurashi/jitensha_shohi/shohiseikatsu/fair/46seikatuten.files/kougai.pdf