■blog vol35:ぷらぷらのお野菜紹介 大根
2022年も始まって早々国内外で心配になるニュースが多く、心穏やかでない日が続いておりますが皆さんいかがお過ごしでしょうか?広報担当・ぷらぷら嫁です。
1月に入って毎日京都の底冷えを感じております。特に洛西は西山が近いせいか山からの吹きおろしがあったり、雪雲の通り道になっているようで京都市内の中でも寒い場所な気がします。今年は雪の積もる日も例年より多めかな?朝起きて一面真っ白の世界が広がっているのも、なかなか風情がありますね。さてさて今回は寒い季節にぴったりのお野菜「大根」のご紹介です。
大根について
突然ですが、大根って英語でなんて言うかご存じですか?実は「daikon」で通じます。英会話で大根は「radish」で覚えたと思いますが、海外の大根は赤い色の短いものが主流で、日本で流通しているあの色白の大根たちは「Japanese white radish」と呼ばれたり、「daikon」と呼ばれています。おなじみの白い大根の生産主流は中国や日本なんですって。それくらい日本に特徴的なお野菜なようです。
歴史について
大根の歴史を探っていくとものすごい量の文献や情報が出てきます。原産地に関しても諸説あり、地中海沿岸、華南高地、中央アジアなど多岐にわたり定かではありません。エジプトのピラミッドの壁画にも書かれているとかなんとか。労働者に配給されていたお野菜だったようですよ。
日本では一番古い史実に残る大根の話として、712年「古事記」の中に「淤富泥(おほね)」という名で登場しています。また、仁徳天皇陵からも大根の種が出てきたそうで、栽培の歴史は長そうです。今の呼び名である「だいこん」と呼ばれ出したのが室町時代だそうです。
種類について
歴史が長いと各地域での品種改良も盛んなようで、日本で育てられているいわゆる「固定種」と呼ばれる種類は多く存在しています。
「宮重大根」は大根の中でも歴史が古く、江戸時代初期に愛知県清州市(当時の春日町)が発祥だそうです。愛知県の西春IC近くには「宮重大根発祥之地跡碑」という石碑まで建立されているそうですよ。戦後に栽培が途絶え保存会が設立され復活を遂げた大根です。
その「宮重大根」が京都に導入されて太くて短い種類を選び続けて出来たのが「聖護院大根」だと言われています。似ても似つかない風貌なので驚きですが、今では立派な京都の伝統野菜として認知されています。
「桜島大根」はご存じ九州桜島発祥。18世紀初めには栽培されていたという記述が残っています。
「三浦大根」は、大正時代三浦半島を中心に、盛んな改良活動の末出来たといわれる品種。
歴史の需要から生産が伸びた種類が「練馬大根」。日清戦争(1894年)の時、軍隊にたくあんを納めたことで需要が高まり、その後の日清戦争や交通網の発達、たくあん工場の増加に伴い練馬だいこんは戦中に生産の最盛期を迎えた大根。
近年の種類だと2003年に「秋田いぶりこまち」という秋田の名産「いぶりがっこ」に適した品種が作られました。
ス(大根の中がスポンジ化すること)が入りにくく、根形の揃いが良い肉質が緻密なF1品種だそうです。それぞれの大根に歴史ありですね。
当畑の大根たち
様々な種類がある中、当畑では特に食味がよく、見た目が面白い大根を栽培しています。
①青首宮重大根
先述の日本古来から栽培されている「宮重大根」は、みずみずしく甘味が強い大根です。青首の部分はお味噌汁など煮込み料理で甘さが際立ちます。水分が多いのでしっぽに近い部分はマイルドな味わいの大根おろしにも最適。(辛味大根がお好きな方には物足りないかも)葉っぱも柔らかくて炒め物やお浸しに向いています。とにかくジューシーな印象の大根です。短所として他の大根に比べて春になると、ややスが入りやすいようにも思いますが根菜特有の甘さがお好きな方にはぜひお試し頂きたい大根です。
②源助大根
こちらは石川の伝統野菜で、主におでんなどの煮込みに最適。緻密で煮崩れしづらい特徴があります。頭からしっぽまで綺麗な白色で、比較的ずんぐりした短めの大根です。厚めの輪切りにしてぜひお鍋やおでんで召し上がって頂きたい種類です。
③桜島大根
今季は栽培していませんが、昨年は大きく育ってくれました。冬の寒さにも強く、規則正しく広がる葉っぱがとても美しかったです。特徴は、とにかく大きい!かぶらのようなフォルムは独特です。その見た目とは裏腹に火が通りやすく、あっさりとした味わい。スジも入りにくくなめらかな食感です。煮崩れもしにくいため炒め煮に最適です。
④紅芯大根
最近インスタ映えするともっぱら噂の大根がこちら。薄切りにすると鮮やかなピンクの色が入っています。シャキシャキ食感でえぐみもなく、薄切りでサラダがイチオシです。大きく育っても握りこぶし程度のサイズで、生育がゆっくりのまあるい大根です。
⑤黒丸大根
毎年人気の黒丸大根は見た目が特徴的です。黒い鱗をまとったような姿ですが、中は真っ白です。一見どうやって食べるのかためらいますが、この黒い皮ごと蒸したり茹でてお召し上がりください。食感が特徴的で、火を通すと栗やジャガイモのような食感になる、他にはない食味の大根です。温野菜やお味噌汁にどうぞ。葉っぱは他の大根に比べてやや硬く、小さな産毛が多いので葉の部分の食味は好き嫌いが分かれそうです。
大根の栄養価
気になる大根の栄養価(根・皮付き100gあたり)を見てみましょう。
参考:食品成分データベース
根っこのお野菜なのでカリウムが豊富です。また大根が持つ酵素にはアミラーゼ(ジアスターゼ)とイソチオシアネート(アリルイソチオシアネート)があります。このアリルイソチオシアネートは消炎・殺菌作用に優れたピリッと辛い成分。熱をとおしたり、長時間空気に触れると失活してしまうため、なるべく生で摂取する必要があります。大根おろしで生食や、角切りや薄切りにしてはちみつ漬けにすることでその成分を無駄なく摂ることが出来ます。
ノド風邪を引いたときの民間療法で、大根のはちみつ漬けを風邪のひきがけに食べることで治りが早くなる、という話があります。成分を考えるとはちみつの殺菌・保湿効果と大根の殺菌作用、ビタミン摂取の相乗効果かなと思えますね。
ジアスターゼは消化を助ける酵素。おもちに大根おろしを付けて食べる「からみもち」も、でんぷんを糖に変える効果があり消化に良さそうです。
大根の栽培について
大根は種まきを9月~10月に行います。以前のブログ(voL30 ぷらぷらのお野菜紹介 にんじん)にも記述しましたが大根の種は「嫌光性種子」のため、しっかりと土で覆い種まきをするのがポイントです。発芽は1週間かからない程度で、可愛いハート型の双葉が出てきます。早い時期に露地植えすると新芽が虫たちの食害に遭いやすく、上手く育たない場合があります。
根菜なので土は柔らかく、大きな石や未発酵の残さなど生育を阻害するものは極力少ない場所を選んでください。根に当たるとそこから分岐してしまい、綺麗な姿で育たない場合があります。
大根はたいていスジ蒔きで一列に種を撒き育てますが、込み合った場所は生育途中に間引きを行います。間引きは本葉5~6枚程度出た頃に、各々の間隔が握りこぶし1個分になるように、生育状況の悪い苗を間引いていきます。寒さが本格的になる12月以降、大根たちは糖度が増し、旨味が上がります。
収穫は、青首大根の場合、緑色の首の部分(?)が地表に現れ、直径が握りこぶし程度のサイズになった頃が目安です。他の大根も地表に首の部分が出てきた頃が収穫時期のものが多いです。
花芽がつき出すと、大根の栄養は花茎のほうに移動していくため、スが入り食べられなくなってきます。
当畑では一部の大根をあえて収穫せずに花を咲かせ種を取ります。収穫した種をまた翌年に撒くことで、土地にあった作りやすい大根が出来てきます。きっと他の固定種の大根たちも、こうやって種を残し、選抜され、その土地の気候風土に合ったものが、長い年月を経て作られていったんだろうなと思います。
大根のアレンジレシピ
色々な種類の大根、煮込んでよし、蒸してよし、千切りや薄切りでサラダにもよしですが、
ちょっと変わったアレンジレシピをご紹介。「大根もち」ってご存じですか?
(材料 2人分 1口サイズ10個分)
・大根(1/2本)…大根おろしにする
・片栗粉…大さじ4
・だし(粉末かつお節など)…適量
・塩…適量
・醤油…適量
・海苔…10枚
・ごま油…適量
①大根はすりおろし、水気を絞る。
②おろした大根と、片栗粉、だし、塩、醤油を混ぜる。手で団子状にまとまる程度の生地の固さにする。生地が緩いようなら片栗粉を追加して調整する。
③1口サイズの団子状に丸めて海苔で挟んで平たい丸型にする。
④熱したフライパンにごま油を入れて温まったら③を入れて両面に焼き色が付くまで火を通す。
お好みで炒りゴマや鳥そぼろなどを入れてもらっても美味しいです。片栗粉によって冷めてもムチムチ食感。ヘルシーおやつとしてぜひぜひお試しください。
以上、「ぷらぷらのお野菜紹介 大根」でした。
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